素敵な女性たち

バスに乗る。
2人掛けの席に座る。隣に女性が座る。
通路挟んで向こう側にも女性が2人並んで座る。

発進する。

ぷ〜〜〜ん

蚊が飛んできた。
柴田、それを手で掴む。(よく掴めるなぁ)
手を開く。

ぷ〜〜〜ん

生きていた。
柴田、空でまたそれを掴む。
手を開く。

ぷ〜〜〜ん

まだ生きていた。
柴田、それをまた掴む。
むぎゅむぎゅする。
手を開く。


血だらけになった。


ウゲェ〜〜〜!!
誰の血液かもわからないものに触れるのは物凄く危険。
カバンの中からティッシュを探す。
無い!こんな時に限ってない。

勇気を出して、隣の方にティッシュを一枚頂けないか、尋ねる。
無かった。
「どうしたんですか?」
「これ…。(手を見せる)」
「うわぁ!」
「蚊を潰したらこんなに…」
「どうぞ私のタオル使ってください。」
「イヤイヤイヤイヤ!ダメですダメです!血液ですから、誰の血かわかりませんから。ありがとうございます。」

するとそれを聞いていた通路挟んだ向こうの席の女性が、
「ティッシュですか?どうぞ!」と差し出してくれた。

なんて素敵な女性たちなんだろう。

ありがとうございます!と遠慮なく頂き、念願叶って手を拭いた。

だが、時すでに遅し。
手のひらでカピカピに固まった血は、
ティッシュをボロボロにするだけで、
少しも剥がれることはなかった。

こういう時は、ウエットティッシュなんだなぁ。
しばし考えた。
…あ!
今日は雨。ティッシュに傘についた雨粒を吸わせ湿らせ、
ささやかなウエットティッシュにして、なんとか拭き取ることができた。

そうしているうちに目的に到着。
ありがとうございましたと、ティッシュを下さった女性に二度も言ったが、届かず…。

そのまま降りる。
歩き出す。
なんか違和感。
なんか、なんか、なんか…足が…痒い。
足が痒いのだ。

ふと見ると、脹脛が蚊に刺されて膨れ上がって真っ赤になっていた。




…あの血は、私か??