にんじん

にんじんが嫌いだ。
お子ちゃまとか言うな。
にんじんが食べれないわけではない。
野菜スティックはむしろにんじんが一番好きなのだ。

だけどある日、加熱したにんじんを口に入れ、咀嚼している時に、
息を止めていることに気付いたのだ。(笑)

にんじんが嫌いなんだ。
私にも遂に嫌いなものが出来た。

あ、人に嫌いなものをよく聞かれるので、
牡蠣が嫌いなことにしている。
実際嫌いだ。
あの仕組みがキモい。
解剖が始まる。
酸っぱいものがあまり好きではないので、さらに嫌いだ。
なんか鉄の味がする。
鉄棒の味がするから嫌いだ。
あの膨らんだ部分はなんだ??
びらびらしたのはなんだ??

余談だが、帆立の紐の黒い点々は、目なんだって知ってた?
模様じゃないんだぜ!
眼球だってわかる綺麗な黒い点なんだぜ!
360度近い視野で、沢山の目で周りを見てるんだぜ!
貝って本当にキモいんだぜっ!


もっと余談だが、最近、生の玉ねぎがダメになった。
アナフィラキシーショックだったのでは…
と思う発作に見舞われ、死ぬかと思った。
動悸が激しくなり、心臓が猛スピードでドクドク脈打ちだし、
冷や汗と、真っ青な顔と、あっぷあっぷした呼吸困難。
息が出来ないというのは、パニックになる。
息を吸えないって恐ろしいよ。
こうして日記を書いているわけだから助かったのだけれど、
玉ねぎを好きな人とは暮らせないなぁ…と思った(笑)。

亜麻色にうんと炒めた玉ねぎは大丈夫。



我が家は、食には厳しい家だった。
ご飯粒を残すことを許さない。
おかずを残すことは絶対に許されなかった。
だから嫌いなものがほぼ無い。探すのがとても難しい。
最近では貴重な嫌いなものを見つけたら、メモるようにしている。


綺麗に箸を持つ両親に憧れ、必死に特訓したり、
私自身も、食に対する意識は大事にしていたように思う。
だから、どんなに学歴が高かろうと、地位も名誉もあろうと、
ご飯の食べ方が汚い人には、残念に思ってしまう所がある。



にんじんが嫌いだ。
だけど野菜スティックはにんじんばかり食べる。
しかし残念なお知らせ。
生のにんじんは、ビタミンを破壊してしまう悪い奴なんだ。
なんてこった。

火を通してあるにんじんは、味が際立つ。
無視したい味が主張し出すんだ。
あのクセのある味。
口に広がるあの…

…言わなくてもわかるな。
あれが嫌いだ。

グラッセにしようが、何に入れようが、
噛んだ瞬間、あの変な味が広がる。



昔はピーマンも受け入れに時間がかかった。
味を味と認めない自身の味覚との戦いだった。
厳しい家だから、勿論食べ残さずに生きてきた。
だけど、きっとピーマンも息を止めていたと思う。


それがある日、父が居酒屋で学んできたピーマン料理を振る舞ってくれたことで、
長い長い戦いは終焉を迎えた。

【ピーマンのお浸し】
ピーマンをさっと湯通しして、歯ごたえは残したまま、
大きめに千切りをする。
そこにおかかを振って醤油をかけるだけ。
ピーマンのお浸しだよね?

ピーマンを醤油で食べることで、ピーマンを食べものだと私の頭が認めてくれた瞬間だった。

また、
【ピーマンとしらす炒め】
ピーマンを大きめの千切りにし、しらすと一緒にごま油で炒める。
塩胡椒はお好みで。醤油もチロッと。

ご飯が進む君の完成だ!


私の中で、ピーマンはもう好物の一員となった。
あの味を美味しい味だと理解することが遂に出来たんだ。



そんな風に、にんじんも私の脳にどうにか認められないかと、色々試してみたものの、
野菜ジュースかにんじんパン、にんじんゼリーくらいでしか、
未だ受け入れることが出来ていない。 


何度も言うが、食べられないわけではない。
出されたら残さず食べるんだ。
だけど、息を止めている(笑)。
未だに冷戦は続いている。



この前、小料理屋で、マグロかなんかの頭の部分の何かをスライスした酢の物を頂いた。
逃げ道が無いほど無理だった。

もし私が有名人で、食べず嫌いに呼ばれたら、間違いなくこれを一品に選ぶと思う。
いや、酷すぎて、

おぇぇえええぇえぇ〜〜〜〜〜

となるな(笑)。

あれはなんだったんだろう…
あとで聞いておこう。



好き嫌いってなんだろう。
好き嫌いが多い人があまり好きでは無い人間になってしまった私。
アレルギーは別の話だが、その他は、
ぶっちゃけ、脳の思い込みだと思っている。
トラウマのようなね。
身体に害が無いのに不快を覚えるのは、脳がそのような回路になってしまってるからって聞いたことがある。
これはあなたにとって毒ですよ!って。

何かのきっかけで、そうなるんだろうけど、
その思い込みをなんとか努力で克服しようとする人が、好きだ。

私はこれがダメなの。これもダメなの。
あたかも、私の身体は特別って言ってるみたいで、
美味しい食事も選ばなきゃいけない席は、本当につまらなくなる。

同じ人間。ただの好き嫌いじゃんって思ってしまう。
安全なる食物だ。
出された料理を口にしてから決めたらどうかって思う。
怖がらずに、頑固にならずに、思い込まずに…。

常にチャレンジする人が好きなんだな、わたし。


ただ、玉ねぎがダメになった今、玉ねぎダメなんです、って言う自分に、
ちょっと特別さを感じてる所がある(笑)。←バカ

私の身体も一丁前に特徴があるのが、ちょっと嬉しかったり。←アホ



で、にんじんが嫌いだ。