憧れていた人

心の奥で、子供の頃から憧れていた人がいました。
その人が亡くなったと両親から知らされました。
大好きだったので、ただただ涙が止まりません。
最期の状況を色々聞き、切なくて悲しくて、手を合わせに行けないかと、父に懇願しました。
‪虫の知らせかわかりませんが、
何故か手作りの数珠を作ろうと思い立ち、
先日ネットで天然石の卸屋さんでアメジストの石(丸玉一連)を買い、
それが本日届いたところでした。‬
そのビーズが少し余りそうで、ブレスレットにでもしようかと、その為の細いゴムはないかと母に尋ねたら、その訃報を聞かされたのです。
後にも先にも一度きりの晴れ舞台。
私は映画おろちの主題歌を書き下ろしたことで、
舞台挨拶に立たせて頂いたことがあります。
沢山のマスコミは、メインキャストを撮影する為に集まっていました。
ですが、最後に、私にだけカメラを向ける人がいました。
その理由は、私のみわかること。
私の赤ちゃんの頃のアルバムで、何度も登場していた男性だったからです。
そのカッコイイ面影は健在で、
アルバムでしかお会いしたことがなかった上に、
セピア色のその人に30年越しに会ったにもかかわらず、
私は瞬時に気づき、そのカメラに微笑んだのでした。
パシャパシャパシャと、私を数枚撮ったあと、
瞳をファインダーから外したその人は、
ニコッと合図するように微笑んで下さいました。
写真の中と同じ、優しい眼差しで。
その写真、手に入らないかな…。
私には、ただの他人ではありません。
どうか、天国でもカッコ良く笑ってて欲しい。
手作りの数珠で、手を合わせます。
ご冥福をお祈り致します。