警察官になりたかった。
刑事になりたかった。
警察署に出向いて、
刑事になるにはどうしたらいいか、
学生時代、聞きに行ったこともあった。
「お嬢ちゃんがやりたいことは、危険過ぎる。
警察官でも色んな警察官がいるんだよ。
こんな警察官になったらどう?」
と、警察署内で働く事務員のような職のパンフレットをくれるだけだった。
そこで、なんで諦めてしまったんだろうと今でも悔いている。
どっちかというと、上下関係の厳しい世界が好きなのだ。
憧れの先輩にしごかれながら、頑張る世界が好きなのだ。
今のように、お客様を相手にするようなタイプでは、基本無いのだ。
自己顕示欲が強く、注目されたい、憧れられたい、見られたい!
そんなタイプの人間の真逆にいるからだ。
歌手としてデビューした後も、刑事の夢は捨てきれず、
遂に受験資格を失った年は、少し自分の人生に迷いを感じるほどだった。
とてもとても淋しかった。
今日は朝から警察や刑事の方に縁があった。
外に出れば、いつもより警察パトロールが多く、
目の前で事故も見た。
物々しい一日だった。
悪いことをしていないのに、取調室にも入った。
警察署にお世話になるのは、もう御免だ。
もう疲れた。
ため息と共に涙も溢れてきて、
帰りの運転は、眼鏡をかけているから溢れる涙を拭えなくて、
まばたき、というワイパーは使い物にならず、
本当に危険運転だった。
人のお世話になるのだけは、嫌なんだ。
だから一人で全部やる。
世界で一番安全な場所はどこか考えた。
刑務所だと思った。
あんな完璧なセキュリティ空間は他には無い。
生活に苦しい人が、コンビニ店員に頼んで、
「今から万引きするから通報して欲しい」と頼む、
なんてことがあると聞いたことがある。
その意味がわかる気がした。
刑務所は身も心も安全だ。
私には、鉄格子というものは、出られなくするものではなく、
誰からの侵入も防ぐものに見えてならない。
セキュリティの強いマンションで閉じこもる。
お金を掛けて、まるで刑務所のような環境を、今、自分で作っている。
何のために仕事をしているんだろうと思う。
何の仕事をしているんだろうと思う。
何をしているんだろうと思う。
どうして私は生まれてからずっと、こんな人生なんだろうと思う。
どこまで強くなればいいんだろうと思う。
もういいやって思った。
恐怖や不安や絶望や心細さに疲れて、
どうしようもないほど泣けてきても、
毎日は止まってくれないってわかってるから。
諦める。
放棄する。
何も惜しまない。
失うものが無ければ、怖くない。
もう、色々、いい。
ゆっくり休もう。
そしてまた、立ち上がろう。
(今までの被害も、全て通報させて頂きました。)