18年前、来年こそ!来年こそ!とヒットを願う周りからのプレッシャーを感じながら、新人としてその期待に応えようとがむしゃらに活動していました。
4〜5年経ち、未だヒットに恵まれず、その声がだんだんと「曲調を変えたらどうか」の合唱と変わっていきました。
私のメインはヒット曲を目指すこと以上に「柴田淳の世界」を守る方向に変わっていった気がします。
10年15年と節目を迎えた時には、「ヒット曲が無いのに続いていることが凄い!」という、嬉しいのか嬉しくないのか、慰めになってるのかなってないのかわからない、そんな言葉で自身も周りも着地しようとしているようでした(笑)。
そして18年。20周年が見えてきました。
今思うのは、「継続は力なり」という言葉の意味です。続けるということの難しさはしんどくなるほど日々痛感しているのですが、それ以上に思うのは「説得力」です。
継続しているものに、人々が信頼してくれるようになり、それを大切にしてくれるようになったんです。それは「柴田淳の世界」です。
18年ともなると、年齢も経験も嫌でも重ねます。
人生と向き合う姿勢も変わりました。
シンガーソングライターとしての活動の姿勢も随分と変わってきました。
そして何より一番感じているのは、音楽業界の変化と、時代の変化です。
多種多様なニーズが蔓延る時代でのヒットは、ヒットの意味合いも変わり、「ヒットとはなんぞや?」というところから立ち止まらなくてはならなくなったように思います。
そんな益々歌い続けることが難しくなった世界では、惑わされ、いちいち揺らいでいては生きてはいけません。
いつの間にか、私の守ってきたものは武器に変わっていました。「柴田淳の世界」です。
しかし、ビジネスである以上、どんな時代であれ売上のヒットこそヒットです。
決して諦めたわけではありません。
そして満足しているわけでもありません。
ですが、次ヒットしなかったら引退…のような強迫観念の中で歌う新人時代から、どんなことをしていこうか、何を歌おうかと楽しんで、少しの余裕を持てるようになったのは、揺るぎない柴田淳の世界があること、柴田淳の世界を受け入れ認めて下さったスタッフと素晴らしいミュージシャンがいたこと、そして18年ずーっとずーっと支え続けて下さったファンがいたからに他なりません。
本当にありがとうございます。
だからこそ、恩返しのようにちょっとはヒットしたいのですけれども(笑)。
苦しくなった時、「やめようと思ったらいつでもやめれる。だからもう少し頑張ってみよう。」
そうやって奮い立たせてきた時代から、
「ここまで沢山の人に支えて貰った柴田淳をやめるだけの理由なのか。」に変わり、
私は今、キャリアとは抜け出せなくなる底無し沼なのだと感じています。
もし30周年40周年と迎える未来が待っているのであれば、
「まだやってたんだ。」という声がきっと聞こえてくるのでしょう。
それもまた良いかもしれません(笑)。
改めて、今日まで支えてくださった全ての皆様に、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いします。
柴田淳