かなり前の話なのですが、
福島の復興イベント「風とロック芋煮会」にて、人気アーティストではなく私に会いにきた男性がいました。
写真家の岩波友紀氏でした。
311が起きて、私が娘を探すとある男性の姿に胸を打たれ、「道」という曲が生まれたエピソードを聞きつけ、やってきたようでした。
「柴田さんの「道」という曲を書くきっかけとなった男性は、もしかしたら僕がずっと追いかけている被災者かもしれない。」
その時に、私はまるでその男性に会ったに似たくらいの衝撃と涙が込み上げてきました。
「娘は死んだんじゃない。いなくなっただけだ。」
そう言って、何度も娘の名前を叫びながら、まるで地上で起きている悲劇とは無縁のそれはそれは冴え渡る晴天の青空の下、
娘を探し続けるお父さんを、私は忘れられずにいました。
話を続けていると、どうもそのお父さんで間違いなく、今どうしているのか、娘さんは見つかったのか、岩波さんの言葉一つ一つを半ばフライング気味に受け取りながらお話を聞きました。
そして数年後、もう一度岩波さんがまた私に会いにきてくださいました。
そして知らせて下さいました。娘さんが見つかったと。
広範囲に渡って探していたけど、実はすぐそばにいたと。
探す範囲ではなかったすぐ近くにいたと。
その話を聞いた時、やはり涙が止まりませんでした。
その時にもちらっとお話があったのですが、私の「道」のフレーズを写真集に使わせて欲しいとのお願いがありました。
勿論です。光栄です。よろしくお願いします。と伝えました。
そこから3年の月日が経ち、写真集がこの度ようやく完成し、一冊贈られてきました。
とても嬉しかった。
そして、帯にまで私の歌詞を載せてくださって、本当に光栄でしかありません。
岩波さん、ありがとうございました。
是非みなさん買って下さい。見て下さい。知って下さい。
今創作中で、ちゃんと対峙できないので、あとでゆっくり拝見しようと思っていますが、チラ見しただけであの時の思いが溢れてきてしまいました。
お父さんにとって、娘さんを見つけることが、見つかるまでの生きる理由だったと思います。
そして、娘さんが遂に見つかった。
お父さんにとっての本当の悲しみが、娘を失った現実が、いよいよ始まったのです。
311は一生終わらない。
私にも父はいますが、父性愛とはどのような姿をしているのか、311が起きて沢山のお父さんの姿で改めて知ることが出来ました。
皮肉にも、311は私達に、「愛」を教えてくれた出来事だと思っています。
家族って素晴らしい。家族っていいな。愛するっていいな。愛する人を守るっていいな。愛って凄いな。
皮肉にも、皮肉にもこの悲劇は、私達にお金では絶対に買えない大切な「愛」を教えてくれた災害でした。
沢山の愛を、その生き様で教えてくださった被災者の一人である、ごく普通に娘を愛していたお父さんの背中を、どうぞ知って下さい。
写真集のご購入をご希望の方は特設サイトからどうぞ。
http://www.thephotojournal.org/onelasthug
写真展も開催されます。
トークイベントも行われるようです。
ファンクラブイベントと重なり、参加できませんが、都合をつけて見に行けたらなと思っています。
お時間がございましたら、是非みなさんも足を運んでみて下さい。
One last hug
岩波友紀 写真展
2020年3月26日(木)〜4月1日(水)
10:00〜18:00(最終日は15:00まで)
日曜休館/入場無料
アイデムフォトギャラリー「シリウス」
〒160-0022 東京都新宿区新宿1−4−10 アイデム本社ビル2F
tel: 03−3350−1211
fax: 03−3350−1240
東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅
①新宿門方面出口より徒歩2分
②大木戸門方面出口より徒歩2分
③新宿一丁目方面出口より徒歩2分
※エレベーター有
【3月28日トークイベント】
第1部:10:30-11:30 「クラウドファンディングからの写真集出版」
岩波友紀
第2部:14:00-15:00「命を捜すということ」
上野敬幸(南相馬市)× 木村紀夫(大熊町)× 岩波友紀
第3部:15:30-16:30「福島に通う 表現と発信」
渡辺一枝(作家)× 笠井千晶(ドキュメンタリー監督)× 岩波友紀
参加費:第1部1,000円 / 第2部・第3部 共通 500円
★会場か特設サイトで写真集購入の方、クラウドファンディング支援者の方はいずれも無料でご参加頂けます。